恋愛

【書評】恋することと愛すること(著:遠藤周作)恋と愛の違いを説明できますか?文豪から学ぶ

恋ってなに?愛するってなに?恋は愛に変わるの?その問いを、歴史的な作家でありカトリック信者でもある「遠藤周作」著作「恋することと愛すること」から学んでみたいと思います。

遠藤周作とは?

まず遠藤周作さんのことをご存知でしょうか?
遠藤周作さんは、12歳の時カトリックの洗礼を受けています。
当初は批評家として雑誌の連載等をしていましたが、小説「白い人」が芥川賞を受賞し小説家として高い評価を受けました。
遠藤周作さんの小説は、キリスト教をテーマとした作品が多く、自身の宗教と日本人の感性がぎっしりと詰まった作品を発表しています。

特に有名なのは「沈黙」ではないでしょうか。
この作品は1971年に映画化されていますが、2016年に再度マーティン・スコセッシ監督によりアメリカにて映画化されました。
(スターウォーズフォースの覚醒のカレン・レイ役のアダム・ドライヴァーや、窪塚洋介、加瀬亮、小松奈々が出演されています!すごい!)

「沈黙」のテーマは、江戸時代初期のキリシタン弾圧を舞台とし、史実に基づいた歴史小説です。
江戸時代において、日本人はキリスト教をどのようにとらえたか、キリスト教を布教させたポルドガルの司祭が弾圧の中に気づくイエス像にとても注目されました。
キリスト教がどういう宗教か、日本人として理解がしやすいので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね!

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遠藤周作と愛


その遠藤周作さんですが、歴史小説ばかり残しているのではなく、自分の宗教観から数多くの「愛」についての問いを書かれています。

愛とはなんでしょうか?
大好きな人と添い遂げること?人を大切にすること?暖かくなる気持ち?
意外と答えがばらばらになるのではないでしょうか。
それは、日本人が「愛」の真髄を学ぶ機会がないからなのです。

キリスト教からみた愛

キリスト教圏でいう「愛」とは、「アガペー:神の無限の愛」のことです。
人を愛する行為は、「神への誓い」なのです。
教会で愛を誓う行為はとても重く、簡単には裏切ることができない一つの儀式です。

日本人の愛の迷い

日本人がなんとなく思っている「愛」と本来の意味は異なるということがわかりましたでしょうか。
キリスト教では、小さいときから愛について、日常のいたるところでふれあうことになります。
一方日本では愛を学ぶ機会はほとんどありませんね。しかし、愛という言葉は、ドラマ映画いたるところに満ち溢れています。
愛という文字に囲まれている私たちですが、愛について迷いが多いのではないでしょうか。
その愛について信者だからこそ理解をしているのが遠藤周作であり、日本人の愛の迷いを払拭すべく、愛することの大切さを伝える本を多く残されています。

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遠藤周作著「恋することと愛すること」

では遠藤周作著「恋することと愛すること」はどのようなことが書かれているのでしょうか。

「ぼくは多くの恋人たちや、また多くの恋愛論が混同している情熱と愛とのちがいを考え、『恋すること』と『愛すること』の明確な区別を指摘したかったのです。」(本文より)スタンダール、ジッド、ロスタン、ラファイエット夫人。西洋を代表する作家、詩人の恋愛小説から学び、恋愛についての考え方を綴った、遠藤周作の恋愛論。

引用:BOOKデータベースより

遠藤周作は「恋愛」の恋と愛が混同してしまっている点を明確に区別したかったと書かれています。
その通り、恋と愛の違いを鋭く指摘していますので紹介します。

恋とは?

まず恋とはなんでしょうか?
恋についての記述を引用します。

恋すること、つまり異性に対して情熱を持つこと、これは「愛する」こととは違います。
なぜなら、恋をすることは、その機会や運命さえあれば誰でもできるからです。
(中略)
恋をすることはそれほど大きな努力も、忍耐も深い決意もいらないのです。
彼を好ましく重い、信頼できる青年と考え、そして心惹かれはじめ、相手の情熱も感じさえすれば貴方は恋をすることができる。
引用:遠藤周作「恋することと愛すること」

つまり、恋をとは誰でもできる行為だと言っています。
確かに振り返ってみると、恋はいつでもできますね。
気になる彼がいて、思いが高まることは誰でも一度は経験があることだと思います。

恋と愛は混同してはいけない

ここで遠藤周作は指摘をしています。

恋をした夜、貴方は白い窓をあけて、夜の匂い、大地の匂いをやさしく、かぐことができるでしょう。
そんな時、貴方はご自分におっしゃるでしょう。「私は彼を愛している・・・・・」と。

だが待ってください。言葉を正確にするために言い変えましょう。
貴方はまだ彼を「愛している」のではない。「恋している」にすぎないのです。
引用:遠藤周作「恋することと愛すること」

恋を愛を混同しないでという指摘です。
たしかに思いあたることがありますね。
ただ一方的に付き合ってもいない好きな人に対して、「彼を愛しているのに!」と思ったことはないでしょうか(笑)

恋の情熱さえもろい

次に恋の情熱さえももろい点を指摘しています。

愛することーそれは恋のように容易いことではない。
「愛すること」には恋のように烈しい炎の華やかさも色どりもないのです。
その代わりに長い燃えつきない火を守るため、決意と忍耐と意思とが必要なのです。
(中略)
貴方が今、恋していらっしゃるなら、貴方は彼と自分とがいつまでも恋しあっていくと信じていらっしゃるでしょう。
(中略)
けれども人間がそれほど強くないように、恋人たちもそんなに強くはないのです。
引用:遠藤周作「恋することと愛すること」

恋が始まると、とても強い情熱を感じると思います。
彼のことを一生大切にする!何があっても!と心に誓うと思います。
しかし、その恋の情熱さえももろいと指摘しています。
なぜ情熱はもろいのでしょうか?

なぜなら安定は情熱を殺し、不安は情熱をかきたてるということをはぼくたちが考えた通りです。
貴方と彼の結びつきが安定するほど、疲労や倦怠も強くなっていくものです。
まして、その上に生活の困難や現実のみずぼらしさが加わるでしょう。
人生は映画のように甘い、優しいものではない以上、そして貴方たちも人間である以上、くたびれたり、飽きることは当然なのです。
引用:遠藤周作「恋することと愛すること」

安定するほどに飽きてしまうことが自然なのですね。
すると、彼の関係は飽きたら終わってしまうのでしょうか?

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情熱を維持する方法、そして愛すること

彼への情熱を維持するにはどうしたらいいのでしょうか。

その時ー「恋する」ことは全て消え去るかもしれません。
(中略)
けれども、その時「恋すること」の代わりに貴方は「愛すること」をはじめねばならないのです。
愛することとは、決意と意思と忍耐とからはじまるのです。
(中略)
現実のみずぼらしさ、苦しさに耐えながら、彼と幸福を共に築こうとしていく決意ーそれが愛の始まりです。
引用:遠藤周作「恋することと愛すること」

ここでとても重要なことを伝えています。
恋の情熱が消えたら関係が終わるのではなく、「愛する」努力を始めなくてはならないのです。

愛とは自然に沸き起こる感情だと思っている方が多いのではないでしょうか?
それはまったくの誤解で、愛は「決意と意思と忍耐」なのです。
先ほど紹介したアガペー<神への誓い>と形は異なりますが、決意という意味では同じことを言っているのだと思います。

遠藤周作は、愛することは二人で創り上げていく必要があり、方法について具体的な名言はされていませんが、
「愛することとはまず相手を知ろうとする意思」であると言っています。

知ろうとする意思・・・
愛を維持するために、一つの大きなヒントになると思います。

私たちは、日々の生活の中で彼との関係が続けば続くほど欠点ばかりが見えるようになります。
そして、なんでこうしてくれないの?という気持ちと不満が高まるのではないでしょうか?

しかしそれは愛ではないのです。
彼のことを気遣い、知ろうとする意思が欠如していますね。

知り尽くした彼でも、今日の出来事に新しい発見があるはずです。
それを見落とさないよう、愛を消さないよう、維持していきたいですね。

最後に

以上、遠藤周作の「恋することと愛すること」を紹介しました。
今回紹介したこと以外にもこの本には、避けてとおれない肉欲について、男性の欲望、快楽についても言及されていますのでぜひ手にとってみてくださいね!

「恋することと愛すること」の中で、夫婦の完全な愛の状態を描いた小説としてフランスのシャルドンヌの作品を挙げています。
今度は、シャルドンヌから見た夫婦の愛について学んでいきたいと思います!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

juri
juri
離婚・再婚の経験をもとに、夫婦関係やセックスレス、浮気に悩む方向けに、愛され幸せになるヒントとなる記事を発信しています。

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